原告
平成
14
14年10月4日午後4時41分ころ(乙A1・191頁, 乙A2・63頁)(以下,平成14年の出来事については,月日の記載の みとする。
),前日(3日)夜からの腹痛が治まらず症状が増悪するとし て,被告病院の救急外来を受診し,被告病院第3内科に入院となった。
こ の時点で,腹部に圧痛があり,腹部膨満感もあって,前日夜から排便・排 ガスがない状態であった。
イレウスを起こすと閉塞部より口側にガスと液体が貯留するため,腹部 単純X線撮影において特徴的な所見を呈し,これを鏡面像(ニボー)とい う(乙B6・354頁)が,原告の入院時点での腹部レントゲンでは,小 腸ガスが複数貯留しているのが認められ,ニボーの存在も認められた。
ま た,大腸ガスの存在も認められた(乙A2・11頁,乙A4の1,乙A1 4)。
担当医であるH医師は,癒着性イレウスが考えられるとして,絶飲 食とし,抗生剤投与も開始した。
同日の段階での入院診療計画によれば,原告については,推定される入 院期間は約1か月,治療方針は,まずチューブで減圧し,手術を考慮する というものであった(乙A2・20頁)。
イ10月5日 腹部エコーを実施した。
また,腹部レントゲンでは,複数の小腸ガス の貯留と,ニボーが認められた(乙A7の1,乙A14)。
原告について は過去2回の腹部手術歴(卵巣部分切除,S状結腸切除)があり(前記1 - 7 - (1)ア,ウ参照,そのた) めの癒着と考えられ,癒着性イレウスの診断 のもとで,同日午後,排便・排ガスがないことから,イレウス管が挿入さ れ,持続吸引が開始された。
3時間で350 ml の排液があり,排液は良 好であったが,癒着のため,イレウス管の進行は乏しかった(乙A2・1 4頁,76頁)。
同日夜,咳き込んだ際にガスが出たと,原告から話があった。
腹痛は自 制内であった。
ウ10月6日 排便・排ガスあり。
排液1400 ml あり。
午前7時,原告より挿入したイレウス管の違和感の訴えあり。
気になり 熟眠できないとのことであった。
グル音(腹鳴)聴取可能だが微弱であり, 腹膨著明であった。
午後2時,原告は痛みがほとんどなくなったと話した。
午後7時,腹満感も軽減した。
同日の排液は良好であった。
なお,同日の腹部レントゲン画像では,前日とほぼ同様の小腸ガスの貯 留とニボーが認められた(乙A8の1,乙A14)。
エ10月7日 (ア) イレウス管造影を実施したところ,直腸まで造影されたが,S状 結腸に狭窄を認めた。
その後撮影された腹部レントゲンによれば,複数 の小腸ガスの存在が認められ,大腸に造影剤が流れているのも確認され た(乙A9の1,乙A14)。
責任病巣は臍左側(手術創の左側)と考 えられた(乙A2・15頁,76頁)。
排便・排ガスが認められ,イレ ウス管を抜去した。
飲水のみ可となった。
(イ) これ以降,10月12日の外科転科時点まで,原告による顕著な 腹痛の訴えは認められなかった。
また,上記の転科時点まで連日7〜8 回と頻回に排便が認められた(乙A1・200頁)。
オ10月8日 腹部に少し圧痛あり。
排便・排ガスあり。
もう少し絶食を継続すること - 8 - とされた。
なお,午後2時,原告からガスは出ないとの訴えがあった。
同日の腹部レントゲンによれば,小腸ガスが複数存在することに加えて, 明らかなニボーが認められた。
また,大腸(上行結腸付近)には造影剤の 残りが認められた(乙A10の1,乙A10の2,乙A14)。
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カ10月9日 排便・排ガスあるが,腹部レントゲンによれば,広範囲に小腸ガスの貯 留が認められ,その一部につきニボーの存在が認められた。
また,大腸ガ スの存在も前日より多く認められた(乙A5の1,乙A5の2,乙A14)。
被告B医師は,小腸ガスの改善が認められないと判断した(乙A2・16 頁)。
また,排便はあるが水様のものであるとの訴えが,原告よりあった。
キ10月10日 原告からは,腹痛はない,便はかすみたいなものが少しずつ出るとの話 があった。
ク10月11日 (ア) 第3内科のH医師から,第3外科へ,原告について以下の概要で 手術適応について照会がなされた。
「平成9年7月にS状結腸切除術,過去に卵巣摘出を受けた既応のあ る患者であり,イレウス管挿入し治療その後抜去,その後炎症反応も軽 快しているが,排便・排ガスあるにもかかわらず,小腸ガスの改善が認 められない。
現在絶食中である。
」 これに対する,第3外科のE医師(当時助教授)の回答は,「寛解時 に腹腔鏡下で腹壁の癒着剥離を行うのがよいと考えます」というもので あった(乙A2・18頁)(なお,「寛解」には,症状が一時的に好転 する状態との意味があり(南山堂医学大辞典18版・358頁),医学 的には,その後の経過で再燃し得る状態が体の中に残っていることを示 すものである(被告C本人15頁)。
)。
(イ) 被告病院では,原告を外科に転科させた後に「予定手術」として - 9 - 扱うと,2週間以上の待機となることから,「緊急手術」扱いとして, 翌12日に手術を実施する予定とした(乙A12)。
(ウ) 同日(11日),原告は外出を希望し,これは許可されたが,結 局外出はしなかった。
(エ) また,腹部レントゲン上,広範囲に小腸ガスの貯留が認められ, ニボーの存在も認められた。
更に,大腸ガスも認められた(乙A6の1, 乙A14,被告B本人)。
ケ10月12日(内科) (ア) 朝,原告は第3外科へ転科となった。
この時点で,担当(第3内 科)のH医師は,強固な癒着のためにイレウス管が進行せず,完全な便 通も得られないので,内科的治療のみではイレウスの再発は必至である と診断していた(乙A2・76頁)。
(イ) 転科にあたり,第3内科では,原告に対して,腸閉塞の治療と再 発防止の目的で手術をすること,入院日数は手術内容によって変わるが, 開腹手術になることもあることを説明している(乙A1・200頁)。
なお,この点について,原告も,予定された手術について,H医師か ら,腸閉塞にならないために癒着をとる手術だという説明を聞いたこと, それは納得したことを供述している(原告本人)。
コ10月12日(外科)−第1回手術の実施日− (ア) 腹部は平坦かつ軟で,疼痛あり。
内科入院中に撮影されたレントゲンを第3外科で検討したところ,小 腸ガスの存在は明らかであり,また,同様にこれまでの腹部CT画像に よれば癒着が認められることが,再度確認された(乙A1・8頁)。
(イ) 午前中に,被告B医師から原告及び親族に対し,手術内容等の説 明がなされた(後記1(3)ア参照)。
(ウ) 腹腔鏡手術を開始したが,腸管,腹壁の全面癒着のために開腹手 術へ移行した。
そして,癒着が広範囲なため皮膚切開部を広げて手術(癒 - 10 - 着剥離術)を続行した。
これにより,原告の腹部には,客観的に腹腔鏡 手術を断念せざるを得ないほどの強固な癒着が存在していたことが判明 した(乙A12・4頁,6頁,被告B本人,被告C本人)。
その後は, 腹腔内を温生食で洗浄し,ドレーン挿入,癒着予防のためにセプラフィ ルムを使用して,縫合作業を行った(乙A1・150頁)。
第1回手術の手術時間(執刀時間)は5時間32分であった(乙A1 ・152頁,被告B本人)。
手術時間としては,開腹手術に移行したこ とを考慮しても,強固な癒着のためにかなり長い時間がかかった(被告 B本人3頁,38頁)。
なお,手術後の腹部レントゲン(臥位)では,第1回手術前に存在し たような小腸ガスの存在は認められなかった(乙A1・11頁,乙A1 1)。
サ10月13日 バイタルサインは安定していた。
腹部レントゲンによれば,小腸ガスの 貯留傾向が認められたので,術後イレウスの発症に注意することが必要と された(乙A1・13頁)。
シ10月14日 (ア) 排ガスあり。
被告B医師は,第1回手術においては腸管切除をし ていないので長期間の腸管の安静は不要であると判断し,飲水を許可し た(乙A12・6頁)。
同日のTP(血清総タンパク)は4・7 g/dl,CRP(C反応性タン パク)は11・1 mg/dl であった(乙A1・14頁)。
(イ) IVH(経静脈栄養法)として中心静脈までカテーテルを挿入し た。
挿入後に,レントゲンで確認したところ,大腸ガス像(結腸膨隆(ハ ウストラ)(甲B5・812頁)を伴うと思われるもの。
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